着物のしまい方・たたみ方がわからない」「お茶会が終わった後、小紋や色無地をどう片付ければいい?」——秋の炉開きや大茶会、日頃のお稽古を終えた後、こうした疑問を持つ方は少なくありません。
着物のしまい方を誤ると、次に出したときに落ちない黄ばみ・カビ・頑固なシワが発生してしまいます。特にお茶席の着物は正座による強いシワや目に見えない汗が蓄積しやすく、正しいたたみ方と保管前のケアが欠かせません。
この記事では、お茶会で着用した小紋・色無地のしまい方の基本手順・正しいたたみ方・お茶席特有のチェックポイント・自宅ケアの限界・そして仕舞う前にプロの丸洗いへ出すべき理由まで着物産地のプロ「はぶき(きものケア十日町)」が詳しく解説します。
着物のしまい方の基本——お茶会後に脱いでから仕舞うまでの4ステップ
お茶会から帰宅したら、すぐに畳んでタンスへ仕舞い込むのは厳禁です。以下の手順で、着物に残った熱と湿気を抜きながら状態を確認しましょう。
ステップ1|着物用ハンガーに掛けて陰干しする
脱いだばかりの着物には体温の熱気と湿気がこもっています。和装用ハンガーに掛けて、直射日光の当たらない風通しの良い室内で半日〜一晩ほど陰干しし、内部の湿気をしっかり飛ばします。
《はぶきのアドバイス》帰宅後「とりあえず陰干し」だけは必ずその日に
疲れて帰ってきた後にそのまま畳んで置いてしまう方が多いですが、これがカビと黄変の最大の原因です。お茶会の着物は室内着でも大量の汗と湿気を吸っています。手順の残りは翌日でも構いません。「陰干しだけは帰宅当日に」を習慣にしてください。
ステップ2|お茶席特有の汚れ・ダメージをチェックする
陰干し中に明るい場所で着物全体の状態を確認します。特に膝裏・八掛(裾裏)・帯まわりを重点的にチェックしてください(詳細は次のセクションで解説します)。
ステップ3|ホコリを払う
柔らかい和装用ブラシや乾いた手で、上から下へ優しく撫でるようにして畳の粉や表面のホコリを払います。強くこすると生地を傷めるため、あくまでも「払う」だけにとどめてください。
ステップ4|熱と湿気が完全に抜けてから「本だたみ」にする
完全に熱と湿気が抜けたことを確認してから、平らな場所(敷紙の上)で「本だたみ」にします。折れ線以外に余計なシワを作らないよう、手のひらで優しく撫でながら丁寧にたたみます。
《はぶきのアドバイス》「本だたみ」はゴールではなくスタート
正しくたたんでタンスに入れても、汗・皮脂・正座のダメージが残ったままでは翌シーズンに黄変・カビが発生します。たたむ前に汚れと汗が処理されているかどうかが、着物の寿命を決める最大のポイントです。
着物の正しいたたみ方「本だたみ」の手順
着物の基本的なたたみ方は「本だたみ(ほんだたみ)」です。小紋・色無地・訪問着など、ほとんどの着物に使えるたたみ方です。正しくたたむことで次の着用時のシワを最小限に抑えられます。
本だたみの手順
- 1. 着物を広げ、衿(えり)が左・裾(すそ)が右になるように平らな場所に置く
- 2. 下前(手前側)の脇縫いを中央に向かって折り、上前(奥側)と重ねる
- 3. 衿の左右をたたんで合わせる。衿先から衿肩あきまでを内側へ折り返す
- 4. 背縫いを中心にして半分に折る(着物が細長くなる)
- 5. 袖(そで)を折りたたんで身頃に重ねる
- 6. 裾から二つ折りにして完成。折り目以外にシワが入らないよう手で優しく整える
たたみ方の注意点
- • 必ず平らで清潔な場所(和紙や敷紙の上)でたたむ
- • 折り目が決まっている部分(衿・袖・裾)以外にシワを作らないよう注意
- • 手のひらで優しく撫でながらたたむ「手アイロン」が有効
- • 無理に引っ張らず、生地の流れに沿ってたたむ
- • 金箔・刺繍のある部分は薄紙(和紙)を当てて折り目のダメージを防ぐ
《はぶきのアドバイス》正座のシワが残ったままたたむのは逆効果
お茶会後の着物は膝裏やお尻部分に正座による強いシワが入っています。このシワを伸ばさないままたたむと、折り目と重なって固着し、次のシーズンに着用するときにアイロンでも伸ばしきれなくなります。たたむ前に手のひらで優しくシワを伸ばすか、気になる場合はプロのプレス仕上げに依頼してください。
お茶席ならでは!仕舞う前に確認すべき4大チェックポイント
お茶会やお稽古では、一般的なパーティや日常の着用とは異なる「お茶席特有の動作」があります。そのため、小紋や色無地には以下のような隠れたダメージや汚れがつきやすいのが特徴です。
1. 正座による「膝裏・お尻まわり」のシワと生地の伸び
長時間の正座により、膝の曲げ伸ばしやお尻の圧迫で膝裏や背縫い部分に強い折りジワや生地のヨレが発生します。これを伸ばさずにしまうと固着し、次に着るときにアイロンでも伸ばしきれなくなります。
2. 緊張や熱気による「帯まわりの汗」
お点前や水屋での作業・茶室内の緊張などにより、胸元から帯まわり・背中にかけて想像以上の汗を吸っています。汗は透明なので目に見えませんが、繊維の奥に残った汗成分が後の黄変の原因になります。
3. 抹茶・お菓子・水滴の「目立たない飛び散り」
薄茶・濃茶の微細な飛び散りやお菓子の粉・水屋での水跳ねは、乾くと色柄によっては見えにくくなり見落としがちです。特に濃色の小紋や無地感の強い色無地は要注意です。
4. 畳擦れ(たたみずれ)による「八掛(裾裏)の汚れ」
にじり口の出入りや畳の上での移動により、八掛(裾の裏地)や袖口に畳の擦れ汚れやホコリが付着します。表からは見えないため見落としやすいポイントです。
《はぶきのアドバイス》「お茶会は室内だから汚れない」が最も危険な思い込み
当店に持ち込まれるお茶会後の小紋・色無地の多くに、汗による黄変・正座のシワ固着・八掛の擦れ汚れが確認されます。「室内だから」「短時間だから」という判断でそのまま保管されたケースがほとんどです。見た目がきれいな着物ほど、しまう前の確認が必要です。
「陰干しして畳めば大丈夫」では不十分——自宅ケアだけで保管するリスク
陰干しだけでは汗成分は消えない
陰干しで水分は飛びますが、汗に含まれる塩分・尿素・タンパク質は繊維の奥に残ります。これが数ヶ月〜数年かけて酸化し、茶色い黄変やカビに変化します。「きれいに見えた」着物が翌シーズンに黄ばんでいた、というご相談の原因の多くがこれです。
正座の強いシワは時間が経つほど固定される
膝裏やお尻の強いシワを伸ばさずにしまうと、シワがそのまま固着します。固着したシワはプロでも完全に取り除くことが難しくなります。
自己判断での応急処置はかえって悪化する
| NG行為 | 起こりうるダメージ |
|---|---|
| 水拭き(お茶・水滴への対処) | 輪ジミが広がり正絹が縮む |
| 家庭用アイロン(シワ伸ばし) | 生地のテカリ・縮みが発生 |
| 市販のシミ取りスプレー | 正絹の染料が抜けて色落ちする |
| ベンジンで汚れを拭く | 輪ジミや色落ちのリスクがある |
《はぶきのアドバイス》「応急処置をしてしまった」は必ず伝えてください
「水で拭いてしまった」「アイロンを当ててしまった」という状態でお持ちいただいても、処置の内容を正直にお伝えいただければ最善の対応ができます。隠さず伝えることで、プロが使える薬剤と手順の選択肢が広がります。
お茶会の小紋・色無地を長く愛用するために——仕舞う前にプロへ丸洗いを出すべき理由
「目立つ汚れがない」ときこそ丸洗いが効果的
プロの丸洗いは着物全体を着物専用の溶剤で洗い上げ、表面のホコリ・皮脂汚れ・薄いスレ汚れをリセットします。「大きなシミがついたから出す」ではなく「仕舞う前の予防メンテナンス」として丸洗いを行うことで、黄ばみやカビの発生を根本から防ぐことができます。
丸洗いで「正座のシワ」も美しく復元される
専門店の丸洗い工程には職人による丁寧なプレス(仕上げ)が含まれます。自分では伸ばしきれない正座による膝裏やお尻の強いシワも、着物の仕立て構造を熟知した職人が手作業でふっくらと美しい立体感に仕上げます。
丸洗いに出すタイミングの目安
| タイミング | 推奨 |
|---|---|
| お茶会・お稽古シーズンが終わって長期保管に入る前 | ◎ 必ず丸洗い+汗抜きを |
| シーズン中に複数回着用した後 | ○ 汗抜きの自覚があれば丸洗いを |
| 食べこぼし・抹茶の飛び散りが気になる場合 | ◎ 丸洗い+シミ抜きを |
| 次の着用まで1〜2ヶ月以内 | △ 陰干しで対応し、保管前に丸洗いを |
《はぶきのアドバイス》「次のお茶会の直前」ではなく「今シーズンが終わったとき」に出してください
「次に着るときにクリーニングに出せばいい」と後回しにすると、保管中に汗成分が酸化して黄変が進みます。クリーニングは「着る前」ではなく「しまう前」に出すのが正解です。汚れは時間が経つほど落としにくくなります。
【よくある質問】お茶会後の着物のしまい方Q&A
Q. お茶会で着た小紋は毎回クリーニングに出すべき?
A. シーズン中に複数回着用した場合、または長期保管に入る前は必ず丸洗いに出してください。1〜2回の着用でも、正座の汗や畳擦れが蓄積しているため、「シーズン最後の仕舞い洗い」として出すのが理想です。
Q. 本だたみの折り目はどこにつけるのが正しい?
A. 衿・袖・脇縫い・裾の既存の縫い目に沿って折るのが基本です。縫い目以外の場所に強い折り目をつけると、生地が傷んだり染めが割れたりする原因になります。慣れないうちは専門店や着付け教室で実際に教わるのが最も安全です。
Q. 抹茶がついてしまった場合、自宅で対処できる?
A. 水で拭くと輪ジミが広がるため厳禁です。乾いたティッシュやガーゼで「押さえる」だけにとどめ、そのままプロへお持ちください。処置した内容をお伝えいただければ最適な対応をご提案します。
Q. 宅配で依頼できる?
A. はい、全国から宅配でお受けしています。着物を箱に入れて送るだけでOKです。見積もりは無料で、メール・電話どちらでもご相談いただけます。
まとめ:次回のお茶会も気持ちよく。「はぶき」へお任せください
着物のしまい方で最も大切なのは、「陰干し→正しいたたみ方→仕舞う前のプロへの丸洗い」の3ステップです。正しくたたんでもしまう前のケアが不十分では、翌シーズンに黄変・カビが発生します。
「お茶会で着たけれどクリーニングに出すべき?」「正座のシワが取れなくて困っている」「たたみ方・しまい方がわからない」という方は、お気軽に「はぶき」へご相談ください。
「はぶき(きものケア十日町)」は、着物の産地・十日町に根ざした専門店です。小紋・色無地の丸洗いから正座のシワのプレス仕上げまで、職人が1点ずつ丁寧に対応します。見積もり無料・全国宅配対応です。
